2008年12月27日

ぶどう収穫要員用バウチャー 後日談 2

前回に続き、過去記事「ぶどう収穫要員リクルート用バウチャー?」の、極めてイタリア的な後日談の第2回目。

続きも、何かこう、読んでいると胸苦しくなって来るものがありますよ・・・(苦笑)。


*

それから何日かして、やっとバウチャーが届いた。

***以下、筆者注***
便宜上、上のリンク先にある大もとの過去記事の内容を引いておくと:

『バウチャーは生産者の購入価格が10ユーロ。
ぶどう収穫要員は、収穫を手伝った時間数分のバウチャー(例えば5時間なら5枚)を生産者から受け取り、郵便局に行けば1枚あたり7,50ユーロで換金してもらうことが出来ます。
その25%の差額がぶどう収穫手伝い分の所得税+社会健康保険機構への掛け金ということなわけです。』

ということです。
***筆者注 終わり***


バウチャー(もしくは臨時就業用クーポン) は、表と裏の「両方」に次の事項を記入するようになった、郵便振込票の体裁を取った30cmx10cmほどの大きさの伝票である。
まずその上への必要事項の記入に取りかからねばならないのだが・・・:

*収穫開始年月日、収穫完了年月日
*会社の納税者番号 11桁
*作業人の納税者番号 16桁
*農場経営者署名

・・・それがまた、とんでもない手間なのだ。
多数のバウチャーを購入した農場では、自社データと個々の就労者データの記入項目全部をシールに印刷して、バウチャーに貼っていたらしい。
しかし、そうしなかった/できなかったところでは、どんな事態になっただろう?

例えばバウチャーを250枚使った農場の責任者の場合を例に取ると、年月日を1000回、自社の納税者番号と就労者の納税者番号をそれぞれ500回ずつ書き、250の署名をしなくてはならなかったことになる。
それら全てを間違うことなく手書きで記入し終わるまでに、おそらく丸一日は費やすことになっただろう。

またあるいは、もう少し具体的に想定してみると:
バウチャーで雇った9人の年金生活者で1400キンタルのぶどうを収穫するのに最低10日かかったとしてみよう。
すると、規定通りに就労してもらうために500枚くらいのバウチャーを予約したことになるだろう。
だったら生産者側は2000のデータ、1000の納税者番号を手書きで記入し、500の署名を行っていることになる。

到底、手書きでなど対応できる数ではないが、プリンターで印字したものを貼付けるにしてもなお、大変な手間だ。
飽くまで規定通りにやったとしての話だが。
実際にはみんなが規定の一部くらいしか守っていないのではないのだろうか。
ともかく、うちの場合は小さい農場なので70枚記入したが、それでもある日の午前中が丸々潰れてしまった。

しかも、まだそれで終わったわけではなかった。

農場経営者側で上述のようなデータを記入し終わると、そのバウチャーを臨時就労にたずさわった者に渡す。
そして、就労者は郵便局に出向き、何時間も並んだ後、窓口の職員の前でバウチャー1枚につき2ヶ所、プラス、窓口で受け取った用紙上に設けられた欄に記入された明細の「各行ごとに」署名をしなければならないのだった。

バウチャー80枚分を換金しなければならなかったある人の場合は、郵便局の中に都合三時間半は居残るはめになった。
郵便局が込んでいれば、もちろん待ち合いスペースのベンチに空席がないことが多いが、臨時就労者の多くは年金生活者、つまり年寄りである。
年寄りが立ちん坊で三時間半、である。
彼らはヴェンデンミアが終わってもなお、そういったことに体力を消耗するはめになったのだ。
彼らのバウチャーをさばく郵便局員も --- 彼らは座って業務に当たるわけだが、それでさえ --- 最後にはくたびれ果てていたらしい。
さもありなん、である。

*


イタリアの郵便局員の仕事ぶりは、また、日本と比べて実に悠長なのです。
その辺りは、旅行なさったことがある方々なら、十二分にご経験済みではないでしょうか?







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